著者独自の観点から、儒教の歴史をたどるとともに、その思想が日本におよぼした影響などについても論じている本です。なお2022年現在、本書の増補版が刊行されているようです。
著者は、儒教は宗教ではないという通説に抗して、儒教が死者の祭祀という、宗教としての性格をもっていることを指摘し、さらに仏教を中心とする日本の葬儀にも、その影響がおよんでいることを説明しています。そのうえで著者は、孔子以前の職業的シャーマンによる「原儒」から、孔子によって儒教の礼教的な側面が整えられた経緯をたどり、さらにその後の展開についても説明がなされています。さらに、老荘思想や法家思想との関係についても論じられています。
儒教を宗教としてとらえるというのは著者独自の視点であり、かならずしも一般的な解釈ではないのかもしれませんが、儒教のひとつの側面を学ぶことができたという意味では、有益な内容だったように思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2022年9月1日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2022年9月1日
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