天人唐草 (文春文庫 ビジュアル版 60-27)

著者 :
  • 文藝春秋 (1994年3月10日発売)
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感想 : 47
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著者の「自薦短編集」第1弾です。

第1話「天人唐草」は、女の子はおしとやかでなければならないという父親の教えに縛られた岡村響子(おかむら・きょうこ)という女性の破滅を描いた作品。

第2話「ハーピー」は、佐和春海(さわ・はるみ)という少年が、同級生の川堀苑子(かわほり・そのこ)という少女に死臭を感じ、彼女がハーピーではないかという妄想に陥っていく話。

第3話「狐女」は、九耀家に引き取られた庶子の理(まさる)が、みずからの出生にまつわる呪われた秘密を知る話。

第4話「籠の中の鳥」は、山奥に暮らす「鳥人」の生き残りとされる融(とおる)という少年の物語です。たった一人の身内である祖母がなくなり、民俗学者の人見康雄(ひとみ・やすお)という男のもとに引き取られた少年は、人見が事故で死に瀕するに至って初めて、自身の血筋に伝わる「鳥人」の能力を知ることになります。

第5話「夏の寓話」は、夏休みに海外旅行に出かけた祖父母の家で留守番をすることになった大学生の澄生(すみお)が、6歳で死んだ少女の幽霊に出会う物語です。

短編なので複雑な構成はありませんが、民俗学の道具立てを用いたストーリーに奥行きが感じられます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫版コミック
感想投稿日 : 2016年1月29日
読了日 : -
本棚登録日 : 2016年1月29日

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