『コトバの「意味づけ論」―日常言語の生の営み』(1996年、紀伊國屋書店)の続編で、前著で提出された「意味づけ」論の立場からさまざまな問題についての考察を展開しています。
本書の前半では、「意味づけ」論にもとづく意味論の構築の試みがなされています。題材としてとりあげられているのは日本語における助詞の機能や、一般名詞と固有名詞にまつわるいくつかの問題で、認知意味論などの考え方をある程度継承しつつ、コミュニケーションの成立している「今」「ここ」での意味の共有感覚を基軸に議論を再構成する試みがなされています。
本書の後半では、著者たちの提唱する「意味づけ」論の応用事例というべき議論がなされています。第5章では、現象学的社会学やシンボリック相互作用論、エスノメソドロジーなどの社会学における諸理論と、「意味づけ」論との関係について考察がなされています。前著では十分に議論されていなかった、ウィトゲンシュタインの後期思想との差異についても、ある程度検討がおこなわれています。
田中が執筆している第6章「国際語としての英語論」で、かならずしも英語を母語としない話者たちによるコミュニケーションにおいて理解が形成されることを重視する考えが示されています。また、深谷が執筆している第7章「未来を協同創出する営み」では、まちづくりや社会保障、市民的公共性といった社会的問題について、コミュニケーション論の観点から考察がおこなわれています。
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- 感想投稿日 : 2020年3月28日
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- 本棚登録日 : 2020年3月28日
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