アメリカという国家がどのように理解されてきたのかを、精神史・思想史的な観点から振り返った本です。
まずは、マックス・ウェーバーやトクヴィル、アドルノ、アレントといった思想家たちが、アメリカに未来への希望と大衆社会的な病理を読み取っていたことが、簡潔に紹介されています。
さらに、日本がとくに戦後になってアメリカに対してどのように向き合ってきたのかが紹介されています。小田実や江藤淳、小島信夫など、すでに何度も論じられてきた作家たちが取り上げられており、あまり目新しい議論はなかったように思います。
最終章では、近年マンガやアニメを中心とする日本発のサブカルチャーが世界を席巻していることに触れて、加藤周一が指摘した「雑種文化」という特性を生かしつつ、アメリカへのコンプレックスを克服する道を見ようとしています。
「アメリカはなぜ嫌われるのか」というタイトルを掲げるのであれば、西洋とイスラムとの文明の衝突など、もっと詳しく論じなければならない主題があったのではないでしょうか。そうした点で、やや不満が残りました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史・地域・文化
- 感想投稿日 : 2014年4月11日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年4月11日
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