九鬼周造の哲学が、現代においてもつアクチュアルな意義を論じた本です。
著者はまず、九鬼と岡倉天心とのかかわりや、九鬼の数多くの短歌についての考察をおこない、彼の思想の根底にあるものを示そうとしています。そのうえで、『「いき」の構造』や『偶然性の問題』といった主要著作、さらにポンティニー講演における回帰的時間論や「文学概論」「日本詩の押韻」といった九鬼の仕事を読み解きながら、そこに見られる彼の思索が現代のわれわれを啓発するような思想的インパクトを秘めていることが論じられます。
ただし、いずれも九鬼の思想の魅力が示唆されるにとどまっており、そこから著者自身がどのような考察を展開するのかということについても、もうすこし示してほしかったようにも思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2018年2月28日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2018年2月28日
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