封建主義の復権を説く著者の立場が縦横に語られている本です。
「封建主義」とは、「民主主義」の対概念としか理解されていないと著者は嘆きます。民主主義とは、「自由と平等を目標とする、人民の人民による人民のための政治」のことを意味します。一方著者の擁護する封建主義は、人民のための政治であり、有能な人民の力をそれぞれに発揮しうる人民による政治であるという点では民主主義と同じ理想を同じくします。しかし封建主義は、政治を人民のものではなく、神のもの、ないし天のものとする点で、民主主義とは異なっています。
著者は、政治が人民のものだとする民主主義を求める心性は、住人によって住人のために運営できるなら十分であるにも関わらず持ち家を欲しがる「気分」にすぎないと言い、こうした心性が民主主義の堕落を生み出す淵源となっていると批判しています。
著者の提唱する「封建主義」の中身については、まだよく分からないことが多いのですが、市民社会的な人権意識に対する個別的な批判は納得できるところが多いと感じました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本の小説・エッセイ
- 感想投稿日 : 2014年4月29日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年4月29日
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