ジャーナリストの視点から、多くの関係者たちへのインタビューをおこない、日本会議の実態を明らかにしている本です。
生長の家や神社本庁など宗教団体とのつながりについて、客観的な事実をていねいに追っかけており、むろんところどころに著者の立場からコメントが差しはさまれてはいますが、全体的に冷静な筆致でレポートをおこなっています。
結論としては、日本会議の現実的な影響力にかんしては、一部の危機を扇動するような発言からは、著者は距離を置いているように思います。一方で、日本会議の中核的なメンバーたちの地道な草の根の活動が着実に結果をつくってきたことを押さえつつも、じっさいの政治をどの程度動かしてきたかという点については、彼らが政権を牛耳っているというよりも、両者の価値観がたがいに共振しあうようになったことで、結果として日本会議が巨大な存在に見えているのではないかと述べています。
ただそうだとすれば、政権とのつながりよりも、彼らの活動を動かしている心性のほうにもうすこし踏み込んで、その中身を解きほぐしてほしかったという気もします。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
政治・経済・社会
- 感想投稿日 : 2019年6月8日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2019年6月8日
みんなの感想をみる