ナチスのユダヤ人収容施設での体験を描き、絶望のなかでも人間の尊厳を貫く姿勢を示して多くの人びとに感動を与えた『夜と霧』の著者ヴィクトール・フランクルの実存分析を、わかりやすく解説している本です。
著者は本書のほかに『知の教科書 フランクル』(講談社選書メチエ)を刊行しており、そちらでも本書同様、フランクルの生涯や主要著書についての解説をおこなっています。ただし実存分析の解説は、本書のほうがまとまった記述になっているように思います。
「付論」には、フランクルに対する批判とそれに対する著者自身の考えが述べられています。とくに滝沢克己のフランクル批判に立ち入ってその意義を説き明かし、同時に「人生の意味」と宗教性をめぐる問題について考察をおこなっている箇所は興味深く読みました。
文章も平易で読みやすく、「フランクル心理学入門」として優れた内容の本だと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
心理学・精神医学
- 感想投稿日 : 2016年9月3日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2016年9月3日
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