1986年から95年にかけて書かれた論考で、著者の現象学ないし欲望論の思想について語ったものと、思想的ないし社会的な状況について論じたものが収録されています。
著者は本書に収められた論考のなかで、ポストモダン思想の懐疑論的な性格をくり返し指摘しています。そのうえで、著者自身が立脚するところの現象学の立場から、それが克服されなければならない理由を語っています。また、ボードリヤールやドゥルーズ=ガタリの社会システム論に対しては、この社会を改変していく可能性をほとんど感じることができないという人びとの実感に適合していることを認めつつ、実存の立場から、新たな展望を切り開くことをめざしています。
状況論では、昭和天皇崩御や連続女児誘拐殺害事件、オウム真理教事件といったトピックに寄せて、著者の思想的立場から考察がなされています。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2017年5月25日
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- 本棚登録日 : 2017年5月25日
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