非常に分かりやすい体系書である。あえて条文の順序にとらわれずに記載するという果敢な試みをするなど、論述の進め方も良く練られており、初学者にも理解しやすい(例えば、段落を変えずに次の論点に移る本も少なくない)。
難点をあげれば、解釈論から立法論への議論の峻別という点だろう。もとより、著者は、その点をよく考慮して論じているが、初学者や司法試験受験生が本書を読む際には十分な注意が必要だろう。著者は、まさに民法債権法の改正作業の中心人物であり、そのために立法論への言及が多くなっているのだが、まずは現行法の解釈論と判例の正確な理解が必要であることは言うまでもない。
民法にとどまらず、関連する他の実定法や実務運用などにも的確な説明が加えられている点も、高く評価できる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
民事実体法
- 感想投稿日 : 2011年1月9日
- 読了日 : 2010年12月19日
- 本棚登録日 : 2010年12月11日
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