この本は、私が学群の2年生のときに、とある授業の参考図書として読んだ本です。主な内容は学校教育に関してなのですが、筆者であり大学教授である上野千鶴子は、自身の教授生活を振り返りながら、現在の学校制度が「だれも幸せにしないシステム」(p. 57)であると声高に主張しています。
当時の私はそれまでほとんど教育に関する文献を読んでいませんでしたが、早くして手にしたのがこの本だったこともあり、非常に大きな衝撃を受けました。上野が本書において痛烈に批判しているのは、「学校化社会」です。「学校化社会」とは、「学校的価値が学校空間からあふれ出し、にじみ出し、それ以外の社会にも浸透していった」(p. 50)社会のことを指しており、今の日本社会に広く当てはまる現象だと思われます。そして上野は、これからの教育が目指すべき社会とは、このような学校的価値で一元化された社会ではなく、社会的価値が多元化した、自尊感情が奪われることのない社会であると述べています。
「教育」と「学校」とが強く結びついて語られることの多い昨今ですが、本書は「教育」についてより柔軟に考えることのできるきっかけを与えてくれます。
(ラーニング・アドバイザー/教育 OYAMADA)
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読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会科学の本(政治、法律、経済、教育、産業など)
- 感想投稿日 : 2016年7月26日
- 読了日 : 2016年7月26日
- 本棚登録日 : 2016年7月26日
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