ブクログ仲間さんのレビューで、覚悟はしていたけれど
坂木さんの思った以上にダークな一面を垣間見て
まさに、「甘いぞ。苦いぞ。おどろくぞ。」
26篇のショートショートが収められていますが、
甘い=10%、苦い=70%、驚く=20%
という感じでしょうか。
坂木さんといえば、心癒される温かい読後感や
問題を起こしてしまった人物も含め
登場人物への手厚いフォローが持ち味と思っていたけれど、
『先生と僕』あたりからひとさじずつ苦さが加わってきて
『夜の光』での、高校生たちの家族への絶望感は
かなりヒリヒリ後を引く痛みとなって残って。。。
その後での、一気に苦さ倍増の、この『短劇』!
読んでいて辛くなるような作品もかなりありましたが、
こういうシニカルな一面や、混沌とした闇を抱えているからこそ
『青空の卵』や『和菓子のアン』でみせる坂木さんの温かさが、
地に足がつかないふわふわしたものではなく
清濁併せ呑む苦しさの中から濾過に濾過を重ねて生み出した
きらめくような一滴なのだ、と信じられる気がしました。
たぶん坂木さんにとってのガス抜きともいえるこの1冊、
そう思いつつも、このあとしばらくは
「温かい坂木さん」作品が続きますように!
と祈ってしまうわがままな読者を、
坂木さんが許してくれますように!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
さ行の作家
- 感想投稿日 : 2012年6月6日
- 読了日 : 2012年6月6日
- 本棚登録日 : 2012年6月6日
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コメント 3件
円軌道の外さんのコメント
2012/06/07
まろんさんのコメント
2012/06/08
まろんさんのコメント
2012/06/08