頬ずりしたくなるような、綺麗な装幀の本です!
6人の男性作家によるアンソロジーなのですが
ひとりひとりにテーマカラーが定められていて、
白い表紙の上を横切る、その6色のリボンに白抜きで浮かぶ『LOVE or LIKe』の文字。
表紙を覆う半透明のカバーにも同じデザインが施されているのだけれど、
作家の名前だけは黒い小さな英字で、それぞれのリボンの上に乗っかるように
カバーの表表紙のほうにだけくっきりと印刷されている。
反対に裏表紙のほうは、カバーではなく
裏表紙本体の6色リボンの上に直接白抜きで英字が綴られていて、
カバーを通して儚げに文字が浮かび上がるのが美しくて。
その上、一篇ごとの中表紙として、表紙でその作家に割り振られた
テーマカラーの紙がちゃんと折り込まれているという凝りよう。
せっかくアンソロジーを編むのなら、みんなこれくらい
作り手の愛情を感じる装幀にしてくれたらいいのに、と思うような仕上がりです♪
そしてそして、美しい装幀と、中田永一・本多孝好・山本幸久という
豪華執筆陣につられて手にしたこの本でしたが
いちばんの収穫は、意外にも、中村航さんの『ハミングライフ』でした!
お昼休みに公園で見かけた、猫に餌を与えるための黄色いお皿。
それをきっかけに、木のウロをポストにして、
わずか数行の走り書きのやり取りで心を通わせるふたり。
「あなたは誰ですか?木の精かなんかですか?」で始まる
その奥ゆかしくもほのぼのとした会話の、なんと素敵なこと。
もう、私は木のウロとなって、ずっとあなたたちの密かな恋を見守るわ!
と叫びたくなってしまいます。
時折はさまれる、中村航さん自ら描いたイラストも可愛らしくて♪
なんとなく、「全力で恋してる若い読者さんたち御用達の作家さん」と思い込んで
避けてきたことを深く後悔し、早速デビュー作を図書館で予約したのでした。
装幀の美しさを堪能し、中村航さんの『ハミングライフ』の
やわらかな明るさに触れるためだけにでも、ぜひ手に取ってほしい1冊です。
- 感想投稿日 : 2013年3月24日
- 読了日 : 2013年3月23日
- 本棚登録日 : 2013年3月24日
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