メグル

著者 :
  • 東京創元社 (2010年2月24日発売)
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本棚登録 : 381
感想 : 94
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結婚して間もないころ、通っていた歯医者さんが、あまりに人手不足だったのか
「受付のアルバイトをしませんか?」とスカウトしてくれたことがありました。

憧れの、ピンク色のナース服♪
あれは、七難隠すどころか百難くらい隠してくれる魔法のアイテムですね。
常連患者さんからの電話を取ったら、いきなり「付き合ってる人いるんですか」と訊かれたり
(「あの・・・結婚してるんですけど」と答えたのを聞いて、
患者さんの歯を削っていた先生がぷぷっと笑ってしまい、
治療中の歯、危機一髪でした)
診察券と一緒に手紙やプレゼントを渡されたり、生涯で一番モテた半年間でした。
私なんかでもそんな状態だったのですから、
どうせバイトするなら可愛い制服でちやほやされたい♪ 
という女の子には、超オススメのアルバイトです。

。。。と、こんな私のオススメでは歯医者の受付のバイト人口が増えるはずもないけれど
この本に出てくるH大の学生部奨学係の女性職員、悠木さんが薦めてくれるバイトは
絶対に引き受けたほうがいい。
たとえそれが、亡くなったお婆さんの手を握ってお寺でひと晩過ごすとか
豪華な食事を、作った人にじいっと見つめられながら食べた後、頬ずりされるとか
幽霊と和やかに会話しながらガーデニングにいそしむとかいう、摩訶不思議なものでも。

「あなたは行くべきよ。断らないでね」と悠木さんが断固として押し付けるバイトは
自分でも意識していない、その人が今いちばん必要としているものを
最後に必ず与えてくれるのです。

5件のバイトのうち、悠木さんが唯一「行くべきじゃないわ」と言った
「アタエル」というバイトは、肌が粟立つほど怖かったけれど
その後に続く「タベル」と「メグル」の温かさに救われます。

学生に戻って、H大学生部の古びた廊下を辿り
奨学係窓口のガラスをコンコンとノックして
静かに振り向く悠木さんをひと目見てみたい! と願わずにいられない物語です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: あ行の作家
感想投稿日 : 2013年4月5日
読了日 : 2013年4月2日
本棚登録日 : 2013年4月5日

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コメント 7件

だいさんのコメント
2013/04/06

>「受付のアルバイトをしませんか?」とスカウトしてくれたことがありました。

我が居住の地には、歯科がめっぽう多い。
そのためか、受付譲は極美しく若い女性が鎮座している。

まろんさんのコメント
2013/04/07

だいさん☆

精神的にも肉体的にもかなりのダメージを受ける歯医者さんの治療のあとは
できることなら、見目麗しい女性に「お大事に」と送り出してもらいたいですよね。
・・・となると、ナース服の魔法で百難隠してもらって受付に座っていた私は
あのころの患者さんに、申し訳ない気持ちでいっぱいです!

まろんさんのコメント
2013/04/07

まっき~♪さん☆

いやいや、その歯医者さん、できたばっかりで
私の診察券の番号なんかまだ2ケタ台だったし
他の患者さんはサラリーマンとかおじいちゃんおばあちゃんが多かったので
たぶんほんとに、人手不足だったのです(笑)

それより、衛生士さんなんて、まっき~♪さんこそすごいじゃないですか!
受付やってて、先生よりも衛生士さんのほうがずっと大変そう。。。
と思うことが何度もありましたもの。
どうせバイトするなら、まっき~♪さんが衛生士さんをしてる歯医者さんがよかったなぁ。

そうそう、ルカさんのことでした。
私も「てふてふ荘」と、「本屋のアンソロジー」の中の短編と、この本の3作しか読んでないのですが
どうもルカさん、幽霊系のお話がかなり好きな感じがします。
でも、「てふてふ荘」もそうだったけど、幽霊のほうが人情味あふれていて
生きてる人間のほうが業が深く描かれていたりするあたりが
ルカさんの凄いところだなぁ、と思ったりして。
読んだらぜひ、レビュー書いてくださいね(*'-')フフ♪

nobo0803さんのコメント
2013/04/07

歯医者さんでスカウトなんてすごいですね~
そうなんです!あの白衣はどうも魔法の服のようで・・
私も仕事柄、白衣を着ていますが・・
子供がもっと小さいころに「あの病院の服、家でも着ててくれたら、やさしく見えるのに・・」っていわれました( ;∀;)いやいや、家で着るのはダメでしょう・・
まぁ、それくらいやさしく思えるみたいですね(笑)

乾ルカさん、気になってる作家さんの1人です。
で、先日、ブックオフで「てふてふ荘」が100円で売ってたので買ってきました!!
読むのが楽しみです♫

まろんさんのコメント
2013/04/08

noboさん☆

まあ、なんと!
noboさんはあの、魔法のアイテムを常日頃身につけるお仕事だったんですか!
お家でも着てほしいというリクエスト、可愛くてきゅん♪としました。
でもnoboさんなら、白衣なしでもじゅうぶんやさしそうな気がするのですが(*'-')フフ♪

「てふてふ荘」が100円だなんて、ビバ!ブックオフ☆ですね。
てふてふ荘の新たな住人になったつもりで、存分に堪能してください。
そしてnoboさんのレビュー、楽しみに待ってます♪

macamiさんのコメント
2013/04/10

受付にスカウトだなんて、まろんさんすごい!
でもまろんさんが受付だったら行くのが楽しみになりそうです^^

なんだか怖い部分があるようで・・・
書かれていない「アタエル」にドキドキしています。(笑)

まろんさんのコメント
2013/04/10

macamiさん☆

いやいや、ほんとに人手不足だっただけなんです、たぶん!
でも、人とおしゃべりするのは好きなので、引っ越すまでの半年間、
とても楽しいアルバイトでした。
macamiさんがもし患者さんだったら、受付で話が弾みすぎて叱られちゃったかもしれませんね(笑)

「アタエル」は心理的に怖いんですが
いちばん最初の「ヒカレル」は、いいお話なんだけど
もう、皮膚感覚的に痛いというか怖いというか
怖がり屋さん仲間のmacamiさんには、とても詳細を語れません(>_<)

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