以前に一度読んだことがあったはずだが、
あらすじ以外の細かい部分を思い出せなかったので再読。
アンってこんなに泣ける話だったかしらん。
前回読んだときの記憶は無いが、
おそらくそのときと今回とで決定的に違ったのは私の視点だろう。
私が涙したのは、アンに感情移入したからではない。
アンの言動を見守る私は、あの小さな女の子の保護者だった。
素直で正直で夢見がちなアンが徐々に成長していく様や
彼女が周囲や自分に対して見せる愛情や思いやりに、涙がそそられるのだ。
それは、娘の成長を見守る母親のような体験であった。
こんなに素直な良い子がどれほど現実に存在するかは疑問だが、
(というか、完全にフィクションの中と公家にしか存在しないと思う)
自分の娘にはこういう風に育ってほしいと思う。
夢見がちな話を聞くのは好きな方だし、ドジな子ほど可愛くも思える。
何より、感謝する気持ちを知っている点が、彼女を娘として魅力的にする。
ただ、こうなる背景には「孤児」という
彼女の不幸な背景が欠かせないだろう。
人間、一度は失ってみなければ今ある暮らしの大切さが分からないものだ。
自分のことを必要としてくれている人がいること。
帰るべき場所があること。
自分に向けられた無償の愛に気付くことも、
一つの才能なのかもしれない。
16歳になった彼女の進んだ道は、
子どもの頃に彼女が描いていたような
輝かしいものではなかったかもしれない。
しかし、輝かしいばかりが幸福な未来だとは限らないことも、
彼女は知っている。
穏やかな幸せに包まれているであろう
世界中に愛された彼女の先に待つ未来を、
私はまだ知らない。
- 感想投稿日 : 2012年8月11日
- 読了日 : 2007年8月26日
- 本棚登録日 : 2012年8月11日
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