率直に行って、作者の経歴からはアメリカ政治への深い造詣があるとは思えず、あまり期待はしないが日経プレミアムだしとりあえず読んでみるかという程度の動機で購入した。
しかし読み進めるうちに、今まで複雑で理解しがたいと思っていたアメリカの民主党と共和党のイデオロギーが、少しずつ理解出来るようになって来た。
本としての構成も良かった。現状分析に始まり、歴史的考察が入り、様々な具体的分野に関してのリアルな分析が行われ、最後に少しだけだが日本も含めた提言が行われる。
期待以上の良書だった。
そもそも一般に言う保守とは何か、リベラルとは何か。そして共和党と保守、民主党とリベラルについて、そのイメージと重なる部分と、アメリカに特殊な部分がある。
こうした複雑さもあり、今まで自分はアメリカの民主党と共和党についての知識はほぼ0であった。
この本を読み、そうした点について少し理解が出来た一方で、両党が互いに政権を担当しながら、その方針や支持母体も歴史的に変化していくアメリカ政治のダイナミズムに、改めて驚かされた。
日本の政治にすぐに過激なダイナミズムを求めるのは不可能であるが、政権担当能力のある野党と、国民の政治的
関心の高さは素直に見習うべきであろう。
逆に言えば、政治全体のダイナミズムの無さが国民の関心を失わせているとも考えられる。
安倍首相を中心とする現政権には、長期政権としてダイナミズムある政策を実行し、それに対し国民も高い関心をもって応えていくべきであろうと思う。
余談だか、この本を読んでから見るとハリウッド映画の捉え方が良くも悪くも大きく変わってしまいそうだ。
- 感想投稿日 : 2014年2月23日
- 読了日 : 2014年2月23日
- 本棚登録日 : 2014年2月23日
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