永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04)

著者 :
  • 太田出版 (2013年3月8日発売)
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著者の政治的信条や行動に賛同するわけではないが、本書は非常に示唆に富む分析をしており、かつそれをよく言語化している。
感覚としては、柄谷行人の「憲法の無意識」を読んだときに近い。本作品とは関係がないが、一般に左翼的な批評のなかでよく言及される陰謀論的主張について、私は人々が多様な政治的利害、立場をもつなかで、それほど単純な因果関係が素直にまかり通るとは考えていない。一方で、政治、経済、歴史、文化などさまざまな環境の中で形成された国民大衆の「無意識」がもたらす力は相当に大きく社会を規定すると考えている。それゆえに、日本文化に限らずそうした各社会の「無意識」を分析することは重要であると思う。その無意識をうまく利用することは、希望にもなりうるし、悪夢にもなりうる。いわゆる「指導者」となるものはそのことを念頭に置いておかなけれらならないと強く感じており、この「永続敗戦論」はそうした無意識の分析に関し説得力のある主張であると感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会、経済
感想投稿日 : 2017年8月20日
読了日 : 2017年8月20日
本棚登録日 : 2017年8月20日

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