教養としての大学受験国語 (ちくま新書 253)

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  • 筑摩書房 (2000年7月1日発売)
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基本は二元論。

大学受験国語は、思考の最前線に触れてほしいと出題者が願っている、世界を知るための思考の座標軸、思考のアンソロジー。

序章
◯二元論で読むこと。

第一章 近代
◯「近代」とは「天才」を必要としないシステムを作りだした時代。
◯「近代」とは「発見」の時代。
◯「近代合理主義」「世俗化」「内面の発見」「労働の発見」「個人/共同体」

第ニ章 二元論
◯「近代」的思考とは、二元論。
◯脱構築批評は、「近代」的思考である二項対立を利用しながら、「近代」を批評。
◯「他者」を発見することは「自己」を発見することが、二項対立的思考の本質。
◯参考:『現代思想の冒険』竹田青嗣

第三章 自己
◯自己の発見は他者の発見と同時でなければならない。

第四章 身体
◯「自己とは身体である」メルロ=ポンティ
◯身体はイメージである。
◯「身体は他者である」上野千鶴子

第五章 大衆
◯大衆とは他人志向型の人間である。
◯他者の視線の内面化。
◯大衆の顔は大衆自身にも見えない。
◯『民主主義は「権威」ではなく「人気」に支えられている』上野千鶴子
◯ポストモダン思想の中心概念は「記号」。世界は記号の集成。
◯「言語は現実から自立した差異の体型」ソシュール
◯都市は人々を大衆に変容させる装置。

第六章 情報
◯いったい誰が情報としての価値を決めるのか。
◯権力は情報を隠すことによって権力たらんとする。

第七章 日本社会
◯「公共性」と「共同性」。
◯「建前」と「本音」。
◯「社会」と「個人」。
◯「社会」と「世間」と「個人」。

第八章 国民国家
◯国民とは、同一の言語を話し、同一の国籍を有し、同一の法の支配のもとにおかれる存在。
◯フランス革命は、個人を国民として直接的に国家に結びつける原理を生み出した。
◯国民とは、国境を内面化した個人。
◯国民とは、国家の原理を体現した個人。
◯比喩は人の感性を強力に教育する装置。
◯言語統一が成立することが国民国家形成の前提条件。
◯文化の画一化が進んでいるからこそ、反発する民族主義や宗教的原理主義者が広がる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思索
感想投稿日 : 2021年5月28日
読了日 : -
本棚登録日 : 2021年5月28日

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