イノベーションのジレンマ 増補改訂版: 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

  • 翔泳社 (2001年7月1日発売)
4.06
  • (629)
  • (488)
  • (410)
  • (39)
  • (14)
本棚登録 : 7112
感想 : 501
5

20200708
HBSでも有名な本書。概要については、解説でも述べられている以下の通りで、なぜ優良企業ではないところからイノベーションが産まれるのか明瞭になっている。
「偉大な企業は全てを正しく行うが故に失敗する。筆者は、なぜトップ企業が顧客の意見に熱心に耳を傾け、新技術に狂ったように投資したにも関わらず、なお技術や市場構造の破壊的変化に直面した際に市場のリーダーシップを失ってしまったのかについての説明を与える。責を負うべきは、無能な経営者、官僚主義、技術力の低下あるいは世襲制などではない。犯人は企業規模とその企業の最重要顧客である。本書はあなたの目を見開かせるに違いない」
簡単な解説を以下に記載する。
先ず、優良な企業がイノベーションを生み出せない3つの理由は以下である。
①持続的技術に固執して、上位市場から降りてこられず、破壊的技術を評価できないからである。
②市場の需要よりも、技術の供給能力が高まって、市場が評価しえない状況を、優良企業は把握できないからである。
③顧客と企業の財務、組織文化に制限されるからである。
このような事を起こす破壊的イノベーションの特徴は3つである。
①既存のバリューネットワークの中で、新しい性能指標となる可能性がある。
②新しいバリューネットワークを構築する可能性がある。
③市場・技術の中で新しい顧客ニーズに応える可能性がある。
破壊的イノベーションに対応するためには、少なくとも以下観点(①新しい顧客、②新しい組織規模、③新しい成長市場、④新しい評価基準、新しい性能、需要、ライフサイクル)で視野狭窄にならないようにして、不可知論的マーケティング思考(①最初から正確な予想はできない前提、②トライ&エラーができるリソースと仕組みを設ける、③学習のための計画であると理解)を持たなくてはならない。
最後に、クリステンセン教授が前書きで書いているように、日本における企業は、終身雇用を前提で上位市場に止まってしまう企業や人材が多い事、また、金融市場が新規企業にお金を循環させる仕組みが無いため、イノベーション(新陳代謝)が生み出されない=成長が止まり停滞に苦しむと予測していて、まさにその通りの状況になってしまっている。
ようやくコロナ危機をきっかけに企業や古い慣行が壊れ始め、新陳代謝のサイクルが加速し始めたのかもしれない。自分もその加速をドライブさせる人材となり、価値を提供できるようにビジネスを回していきたい。

//MEMO//
優等生である大企業であればあるほど、強みとする既存ビジネスとカニバルようなイノベーションを起こせなくなるという、あまりにも有名な書籍。
古典としてタイムピースの価値を原典を読むことで学びたい。
自身が大企業の中で感じた違和感が、イノベーションのジレンマで説明できると期待したい。

1. イノベーションのジレンマの構造
(1)持続的技術と破壊的技術
破壊的技術は最初は持続力を下げる可能性があるが、あるところから価値が逆転する可能性がある
(2)技術革新が需要を超える
技術革新が需要以上の価値を提供してしまう可能性、および、明日には競争力を持ってしまう可能性
(3)顧客基盤と財務の制約
破壊的商品は、最初は低価格、利益率も低い、新しい市場、小規模市場、既存顧客は求めない

2. 経営上のジレンマの解決法

読書状況:積読 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月9日
本棚登録日 : 2020年6月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする