足を骨折し、修学旅行に行けなかった佐和子。同じく修学旅行に行けなかった5人と、他に誰もいない教室で三日間をともに、ぎくしゃくしながら過ごすはずだったが…。
修学旅行に行けなかった、というシチュエーションをすごく生かしている物語。ほとんど接点のない5人が修学旅行に行けなかったという共通点で結びつけられていく(ただし行けなかった悲観性ではない)面白さ。そして修学旅行のように普段できないことを楽しむこと。修学旅行独特の面白さ(主に女子視点)、しかし修学旅行ほど非日常的ではないので冷静さを伴っていること。そういった、修学旅行をなぞっているんだけど、修学旅行そのものではないというズレが上手く生かされてる。
そしてもう一つこの物語にはズレがある。登場人物7人の内、主人公以外は皆修学旅行に「行けなさそうな」中学生たちで、修学旅行に行けなかったことを割とすんなりと受け入れてる。一方、主人公の佐和子は足を骨折して、修学旅行に行けなくても行けなかった状態。佐和子は自分と他の6人との間にズレを感じ、しかも修学旅行に行った同級生ともズレを感じ、その狭間で修学旅行に「行った人たち」と「そうなるべくして行けなくなった人たちである6人」の差異を比較しながら捉えようとし、それが結果的に、中学3年生の子どもたちの、自分と他者の関係性、コミュニケーションの方法を浮き彫りにしてる。その辺りがとても上手いなぁ、と感じる物語でした。けど中学生以上向きかなぁ…
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年7月12日
- 読了日 : 2011年7月12日
- 本棚登録日 : 2011年7月12日
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