いしいしんじ氏の作品は『ポーの話』と『四とそれ以上の国』しか読んでないのだけど、冒頭からしばらく読んで、その2冊が繋がるような気がしました。第1章。しずかに淡々として、すこし不穏で、これは何かが起こる前なのだとわかるけど、起こったことさえも淡々と描かれる。
それこそひたひた水が満ちて、穏やかにまた引いていくような。
3章のラストシーン。 これまで読み手の感情はそっと抑えられていたけど、ここでやっと解放される気がします。
このシーンが最初だったのかな。今までの物語は全部、このラストに繋がるために生まれたのかなと思いました。
水が満ちて溢れる。人はいろいろなものを失くしていくけれど、どこか遠くの水底にきっと眠っている。また生まれてくる。
何か大事なものをなくしたときにこの本を読んだら、たぶん私は泣きそうです。それから、もっといろんなことを感じられそう。
ところで一番好きなのは、タクシーの運転手です。面白くて一番ぐんぐん読めたのも、2章かも。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年4月16日
- 読了日 : 2013年3月10日
- 本棚登録日 : 2013年3月10日
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