戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2002年3月19日発売)
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プロイセン 1808までプロイセンは軍事費を出し惜しんだばかりにフランスに負けた 出し惜しみした10倍にあたる1億2000万フランもの賠償金払う それがフランスの軍備充実に使われた 1874 ドイツ帝国議会 モルトケの演説

中立あるいは局外中立という概念は、戦争状態にある二国あるいは三国以上の間にあって、どちらの側にも与する利益がない場合、その国は局外中立を宣言して戦争にまきこまれないようにできることを指す
義務 容認義務(海上封鎖したら容認)、回避義務(中立国は交戦国に援助してはならない、軍需品の売却してはならない、公債に保障を与えてはならない)、防止義務(交戦国が中立国の領域を軍事的に利用するのは、中立国は実力をもって防止しなくてはならない)

中立を維持できるかどうかは当該国の軍事力の多寡というよりは、2つの陣営にとって当該国が中立でいたほうが都合がよいとの判断が、双方に共有されていたかにかかってくる

日清戦争開戦時 軍艦28隻、水雷艇24隻 ひとつとして世界的な水準で主力艦でない
日露戦争開戦時 152隻 1896年から海軍が戦艦6隻(富士、八島、敷島、初瀬、朝日、三笠)、装甲巡洋艦6隻(浅間、常磐、八雲、吾妻、出雲、磐手)を基幹とする建造計画に着手

日清戦争 8個師団(近衛、第一―七師団)
1898年 8-12師団(弘前、金沢、姫路、丸亀、小倉) 日露戦争開戦前後 13-18師団(高田、宇都宮、豊橋、京都、岡山、久留米)

日露戦争 戦費 増税、増税以外は国債(内国債6,72億、外国債 8億円)

日露戦争後 山県有朋 ロシアは早晩、復習戦争に打って出るとみていた、どうやって備えるか頭を悩ませていた。さらに山形は、それでも日露戦争のときにはたしかに存在した「国家の元気」というものは、こん後は続かなくなると悲観していた
現役兵では到底足りずに、欠員を予後備の兵士たちを動員して埋めた。しかし、正直な所、当初は期待していなかった予後備兵のなかには、現役兵に勝るともい獲らない活躍をしたものが少なくなかった。これは日露戦争までの日本には未だ「維新中興の偉業によりて養成されたる子かの元気」があったからである。と山形は総括していた
ロシアの復讐戦に備えなければならない大変な時代を、国家の元気をもはや期待することができない状況で迎えなければならないという見通しがあった。

第一次世界大戦
 戦後、パリ講和条約 日本が提出した要求3つ 期待太平洋の旧ドイツ領南洋諸島処分問題、山東省利権継承問題、人種差別撤廃問題
人種差別撤廃問題 豪、米 日本移民の排斥
1907 米国連邦移民法 米国本土以外を経由した日本人移民を排斥する条項が挿入
1913/8 カルフォルニア州で外国人土地法
日本が、外の力で、相手国の国内問題を牽制しようとした

米国が大戦によって学んだ最大の教訓の一つは、速戦即決の必要。積極的攻勢に出なければ、戦争は長びく。その結果どちらが勝利しても共倒れになる

石原 23年の国防方針における戦争の想定にしたがって、中国をめぐる米国との対立から戦争になることを予期していますが、その米国との戦いにおいては、中国全体を根拠地として戦争を続ければ、戦争によって戦争を養えると、こう論じています。一厘もお金を出せないというのは、軍閥が支配に苦しむ中国へ、あたかも解放軍として日本軍がのりこんでいけばよいとの構想でした

中国の資源で米国と戦争を続けるという発想は、対日経済封鎖をおこなえば日本側がとるであろうと米国海軍が想定していたシナリオとまさに一致していた

リットン報告書 膨大な報告書で調査団が判断を下しているのは3ヶ所
1 9/18の関東軍の行動は自衛行動でないが、関東将校が自衛と考えて行動した可能性については否定しない
2 満州の独立は、中国の主権の尊重と行政的統一を図る9カ国条約に抵触するとの判断
3 前段で日本の経済的権益養護の必要性について述べ、後段で、満州を中国の国民性と切り離すことはできないとの認識を示した部分

報告書は、張学良政権の満州復帰も、満州国の存続もともに認めないものでした。連盟理事会が中国と日本を招請し、東北についての行政組織を考えるための諮問委員会を組織する。そして国民政府から広範な自治権を賦与された政権を作るため、日中双方と日中おのおのが推薦する満州地域の現地代表者を加えた、三者による直接交渉によって最終的解決を図るべきである、と提言
注目すべきは、報告書が附議書が、日本側の主張していた経済的権益の侵害についてほぼ認める記述をしていたこと

1935 ソ連が極東に配備できる飛行機 950機 日本220機

日中の戦争を米国が戦争と認定して中立法を適応すると、日本は交戦国の権利として、米国商船の臨検、戦時禁輸品の捕獲を実行できるようになる
日本にとっても、中国に宣戦布告すれば、米国も中立法を適用せざろう得なくなる。物資と資金の最大の供給先である米国との経済的絆を切ってしまうとことになる中立法の適用は避けなければならないことだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: misc
感想投稿日 : 2017年5月15日
読了日 : 2017年5月14日
本棚登録日 : 2017年5月14日

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