大本営参謀は戦後何と戦ったのか (新潮新書 400)

著者 :
  • 新潮社 (2010年12月17日発売)
3.47
  • (3)
  • (17)
  • (14)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 184
感想 : 17

 この2つの事件は、われわれが何をなおざりにしてきたかをはっきりと示した。十分な防衛力を持ち、自衛できなければ、一国の総理大臣が不退転の決意をしても、自国内の外国の一基地を移転させることすらできない。また、自国の意思だけで自衛権を発動できない国は、自国の領土に対する主権を主張するのにも他国の顔色を伺わなければならない

 大本営参謀 辻 「罪の万分の一を償う道は、戦争放棄の憲法を守り抜くために余生を捧げることだ」と語っていた
 そのために彼がすべきと考えたことは、自衛力を放棄することでなく、自衛できるだけの防衛力を築くことによって、戦争に巻き込まれないよう、アメリカやソ連や中国に対して日本が中立を保てるようにすることだった。

 すくなくとも、戦争放棄を自衛力の放棄と履き違えて、なすべきことをなさず、今日の惨状を招いてしまったわれわれに、「しなかった」彼らを責める資格はないのではないか

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: history
感想投稿日 : 2017年10月22日
読了日 : 2017年10月2日
本棚登録日 : 2017年10月2日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする