アーロン収容所―西欧ヒューマニズムの限界 (1962年) (中公新書)

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ビルマで英軍に捕虜になったものの記録

彼女(イギリス兵)たちからにすれば、植民地人や有色人はあきらかに人間でない

はじめてイギリス兵に接した頃、私たちはなんと尊大な人種だろうと驚いた。なぜこのように無理に威張らなければならいのだろうかとおもったのだが、それは間違いだった。かれらは無理に威張っているのではない。東洋人に対するかれらの絶対的な優越感は、まったく自然なもので、努力しているのではない

ヨーロッパ人は多数の家畜の飼育になれてきた。植民地人の使用はその技術を洗練させた。捕虜の扱いも同じ

捕虜 食料がすくなく飢餓に苦しむ。毛がにはアメーバ赤痢の巣 薪のないところで捕虜は生のまま食べ、赤痢で死んでいった。英軍にはカニには病原菌がいるから生食してはいけないと命令を出していた

ブルジョア国家だったらブルジョアが軍隊も支配できるはずだ。しかし日本の軍部という特殊世界にはブルジョア社会の片鱗さえない。
日本の社会はブルジョア社会でなくて封建社会、すくなくとも絶対主義社会である。

英軍 士官と下士官、兵の体格は隔絶
 士官 市民革命を遂行した市民(ブルジョア)の後裔、自ら武器をとり、武士階級と戦ってその権力を奪った。共同して戦ったプロレタリアは圧倒的な数を持っていたが、そのあと彼らが反抗するようになると市民たちは力で粉砕しそれを抑えてきた

イギリス人のブルジョアとプロレタリアは身体から、ものの考え方から、何から何まで隔絶したものなのだ。イギリスの士官と兵はまったく同じ服装をしている。それなのに、英軍の階級についてなにも知識をもたない私達にもはっきり見分けがついた。
イギリス軍人に接した私たちは、階級という意味をまざまざと見出すことができた

算術ができないイギリス兵 
私たちのうけた初等義務教育のゆきとどいていること、それもかなりの程度が高いものであることは大いに誇りにしていい

日本軍のなかい字が読めるのは何人いるかと訊ね、全員読めるとの答えを聞いて本当にしなかった

イギリス兵は責任感が強い

インド兵 ネパールのグルカ兵

兵隊仲間では旧軍意識が喪失
将校下士官とくに職業軍人を中心とする連中は、軍隊秩序をそのまま維持しようと、むりやり努力した


帰還はすべてを希望にする。抑留はすべてを絶望にする

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年2月2日
読了日 : 2016年2月2日
本棚登録日 : 2016年2月2日

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