Fの肖像: フランケンシュタインの幻想たち (光文社文庫 い 31-34 異形コレクション 46)

著者 :
  • 光文社 (2010年9月9日発売)
3.43
  • (2)
  • (8)
  • (11)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 87
感想 : 11
4

恥ずかしながら数名の作家によるアンソロジー的なものをあまり読んだ経験がなく、そういう個人的な事情もあって、全作品に架してある「人造人間」というテーマはもとより、その書籍スタイルにも新鮮な気持ちを覚えつつ楽しく読み終えることができた。
各物語どれも面白かったが、平山夢明氏から始まる後半は目を見張る充実ぶり。特に、入江敦彦「金繍忌」、中里友香「セイヤク」、上田早夕里「完全なる脳髄」、詠坂雄二「ドクターミンチにあいましょう」の連なりは絶品。
いちばんのお気に入りは「完全なる脳髄」。評価の高い「魚舟・獣舟」以上に世界観の広がりを感じた。短編なのが勿体ない!これを敷衍して長編を!!
それと、「ドクターミンチにあいましょう」に関しては、「電氣人間の虞」を読んでいるか否か、で面白さは増減しますのでご注意を(当然、読んでいると面白さ倍増)。
ああそれと、やっぱ平山さんが果てしなく鬼畜なのと、小林さんのぶっ壊れ加減も再確認(小林氏の「ショグゴス」については童話といったほうが感覚的には近い)。
初体験の円城さんは賢しい吟遊詩人といった印象。これから読もうと思っている「self-reference ENGINE」も楽しみになりました。
…とまあ、アンソロジー宜敷、継ぎ接ぎな感想を述べさせていただきました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アンソロジー
感想投稿日 : 2010年12月2日
読了日 : 2010年12月3日
本棚登録日 : 2010年11月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする