サピエンス全史(下) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

  • 河出書房新社 (2016年9月9日発売)
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感想 : 48
5

モノを見る視点が一段階上がるような本だった。

特に序盤のホモ・サピエンスという種が他の”人類”の中で唯一の勝者として生き残り、世界の覇者に至るストーリーは興奮した。
”鶏が先か?卵が先か?”の繰り返しのような、偶然なのか必然なのかもよくわからない様々な要因の重なり合いが今へとつながる様は実に面白い。

そこから中盤は、わりと普通の「世界史モノ」という感じでちょっとダレるものの、現代から未来を語る終盤がまた面白い。

個人的に最大の収穫と言えるのは「日本人って○○」と思いがちな特徴が、実は世界的に共通しているということを知った点。
例えば、「日本人は平和ボケしてる」とか、「日本人は自己肯定感が低い」とか。そういう多くが、日本人の特徴ではなく、世界で共通の”現代人の特徴”であるということを知れたのが収穫だった。
(途中、翻訳であることを忘れるほど、「そうそう、日本人ってそういうとこあるよなー」と思いながら読んでる瞬間もあった。。)

また、著者のわからないものははっきりわからないと書く潔さも好印象。虚栄がなく、単に知性が高い文章で痺れた。

最後に投げかけられる問いもまた的確。
死や肉体といった制限がなくなる可能性の高い未来を、知的活動さえも科学で代替できる未来を目の前にした今の人類にとって、直面している真の疑問は「私たちは何になりたいのか?」ではなく、「私たちは何を望みたいのか?」かもしれない、と。

たしかに、すでにサピエンスはここまで到達したんだと、頭の中で新たな扉が開く感覚すらあった。

開いたこの扉、私はぜひとも足を踏み入れたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2017年4月5日
読了日 : 2017年4月5日
本棚登録日 : 2017年4月5日

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