デイブレイカー [DVD]

監督 : ピーター・スピエリッグ  マイケル・スピエリッグ 
出演 : イーサン・ホーク  ウィレム・デフォー  クローディア・カーヴァン  マイケル・ドーマン 
制作 : ジェイソン・コンスタンティン  ピーター・ブロック 
  • ポニーキャニオン (2011年6月1日発売)
3.20
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本棚登録 : 316
感想 : 74
2

2019年、ある特殊なコウモリから人間へと感染したヴァンパイアウィルスによって、人類の95%が吸血鬼と化した。後天的な吸血鬼となった彼らは日々、かつて同族であった人間たちの築いた社会基盤を利用して、人間を効率的に狩り、飼育し、血液を配給する仕組みを整えたが、人類の生存率が5%を切ったことで、もはや安定的な血液供給ができなくなると、その残りわずかな血液を巡り、飢えと殺戮の時代を迎えることとなった。人間に同情的な吸血鬼エドは、製血会社に勤める研究者で、吸血鬼たちの深刻な食糧=血液不足の解消と、チューブに繋がれ、ただ血液を抜かれるだけの家畜と成り果てた人間の救済のため、日々代用血液の研究に明け暮れていたが、偶然の事故により、吸血鬼から人間へと戻ることに成功した男と接触、血液供給による対処療法ではなく、吸血鬼を人間に戻す根本治療の可能性を見出し、会社を逃亡、軍に追われながら、治療法を探すことになる。

というのが本作の大まかなあらすじです。吸血鬼といえば、どちらかといえば夜の種族たちのなかでも、ことさらに耽美路線を突っ走るお得なポジションに属するものですが、本作は耽美路線などかすりもしない、ゾンビも裸足で逃げ出すグロさ全開。唯一、知性と容貌が衰えないという点だけが従来の吸血鬼的ですが、それでも、吸血鬼という美しい種族が吸血によって仲間を増やし孤独を癒す、そんなお馴染みの展開などさっぱりなく、ガンアクションにものものしい戦車でのカーチェイス、加えて血液不足に陥った吸血鬼は、サブサイダーと呼ばれる、コウモリと人間とを醜く掛け合わせた異形の姿となって、理性を失い、吸血鬼も人間も見境なく襲うという、コテコテのハードかつグロ展開。加えて主人公のエドが紫外線対策とはいえ、普段着のダークスーツに淡い色のネクタイ、サングラスにシルクハット装備で煙草なんて吹かすもんだから、ハードボイルドもいいところ。しかもこの怪異に科学で打ち勝とうとしたり、ある種のショック療法が解決策になると知れるや否や、エド自らが身を挺してハードすぎる実験の被検体になったりと、かなりマッチョなシナリオです。
ウェットな部分もあるといえばあるのですが、主人公エドの人間に同情的で良識的なところを心配する弟が、そんな兄の優しさが兄自身を滅ぼすことのないように、軍でめきめき頭角を現して、時には兄を売りとばしながら、最終的に兄が救われるように悲惨すぎる人生を歩んだり、娘可愛さに娘を強制的にヴァンパイアにして自殺を誘発したエドの上司が、最後にはサブサイダーとなった娘を人口対策と治安維持のため処刑せねばならなくなったりと、どのみちハードで哀れな展開です。

まあしかし、善良なエドは半ば状況や周囲の人に振り回される形でことをなしていますから、いちばん荒事に及んだのは弟のフランキーだったり、ライオネル率いる人類の生存者たちの集団であったり、基本的には活躍は地味。しかも唯一の吸血鬼から人間に戻るための根本治療を実際に進めたのは、フランキーの哀れすぎる犠牲があってのことですから、結果的に人類が救われたのも、偶然の要素が強く、地球上に生き残っている人間や吸血鬼を含めた人類がいったいどれだけ生存しているのかも不明ですし、あまり納得のいく最後とも言い難い。兵も男ばかりでしたし、最悪、女ひとり男数十人という状態でこれからの人類社会を担っていかねばならないとなると、とんでもない未来も待ち受けていそうです……オードリーがどれだけ子供を産めるかに、すべての行く先が委ねられているようなものですから。

ハードでダークな吸血鬼ものということで、男性人気が高そうですが、どことなくオチや展開に荒っぽさを感じますので、★は2つ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 吸血鬼
感想投稿日 : 2013年11月7日
読了日 : 2013年11月6日
本棚登録日 : 2013年11月6日

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