きれいな色とことば

  • 大和書房 (1998年10月1日発売)
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感想 : 36
5

図書館。題名と表紙に惹かれて。

p52に掲載されていた「水のようなひと」。すごく好きだ。人と会って、「やってしまった、恥ずかしい」と思うようなことがあったとき、これを読んだら自分を見直して、元気が出そうだ。人と会う前に読めば、どんな人と会ってもやわらかく接することができる気がする。これからも何度も読み返したい。手元に置きたい。この本、買おうかな。→文庫を中古で購入した。2017年

p74の「天国のあるところ」。おばあちゃんのエピソード。蝉の声と、夏の湿った空気、おばあちゃんの部屋、扇風機、そのおばあちゃんの部屋にいるような気持になった。

p82で「限りなくミルクに近いミルクティ」が出てきた。以前読んだ「ミルクのお茶」で出てくるミルクティはおーなりさんの好きなものだったのか!
ゆず酢って何だ??ポン酢とは違う?

p114の「真っ赤なガム(イチゴなのにイチゴの味しないやつ)を舌をまっ赤にして食べるのも、たまには好き。」を読んで、昔弟がブルーハワイのアイスを食べては青い下をベーと見せてきたのを懐かしく思い出した。

p134の大日本インキが出している9冊の色見本帳。「日本の伝統色」だけでなく、「フランスの伝統色」「中国の伝統色」という本もあるのだと。中国の伝統色と日本の伝統色、図書館で見つけたら読みたい。
2017/6/22

◆引用
・p19..「失恋の色」は恋だけではなく、いろんなことに当てはまる。「かなしみを受け入れられない時、それは、いかりになる。抵抗する。(中略)だけど、そのいかりを、時間の流れと一緒に、胸の奥に沈めて、たがやしていく時。(中略)いかりは、かなしみの正体をあらわす。そして、いつの間にか遠くなっているのだ。 遠くなったいかりは、かなしみとなり、もっともっと遠くなると、せつなさに変わる。――せつなさは、かなしみより、すこしあたたかい。

→そうだよね、そうだよね、と、自分が悲しくなった体験を2つほど、思い出した。

・p42...グレープフルーツをしぼった果汁や梅シロップにアイスティを注いで2層にして飲む、という目にもきれいなもの。

→ちょうど今梅シロップを作っている。これ、いいかも!

・p42...最後にひとりずつ感想を言う場面があって、「おいしかった」と「おもしろかった」しか感想が思いつかなかった私は、順番がまわってくるまで胸がどきどきした。 私はいつも感じる事に集中している時には、すぐにそのことの内容を説明する言葉が出てこない。見たり味わったりして感じていることを、説明しないですむものなら、抽象的なまま整理しないでほうり出しても平気な方で、こういうことは苦手。小学校の時、ひとりずつ前から当てられて順番に意見を言わなくてはいけない時のような心細い気分を思い出した。あのせっぱつまった感じ。 時々思うのは、日常の事は、「おいしかったねえ」「うん」といって、胸の中であたたかくそのまま持っている方が、その言葉の本質に近くて豊かなのではにかということ。それだけで十分な気もするのに。(負けおしみだろうか。――でも上手に話せるのもやっぱりうらやましいな)

→こんなに素敵なエッセイを書く人が、こんなふうに感じているというのが意外だった。私もいつも、パッと豊かな感想や、コメントが出てくる人がうらやましいと感じている。

・p46...思春期の女の子みたいに、自分やまわりの気持に敏感で、そのくせ、日常の中のやりきれない出来事を、冗談にしてしまえる大らかさは憧れだったのです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ コラム 自叙伝
感想投稿日 : 2017年6月26日
読了日 : 2017年6月22日
本棚登録日 : 2017年6月21日

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