カーソン・ライダーとハリー・ノーチラスの二人が異常心理事件に挑むシリーズ4作目。
これまでのシリーズ作中、出番が少ないながらも凄まじい存在感を放っていたカーソンの兄、ジェレミーが施設を脱走した!
大都会ニューヨークに潜伏するジェレミー。そして相次ぐ猟奇殺人。
強烈な個性を爆発させるジェレミーが最高にサスペンスフルな1冊です。
謎のメッセージを残し惨たらしく殺害された知人というショッキングな出来事に、施設にいるはずのジェレミーが関わっていると知った時の描写がゾクゾクします。
必死の体のカーソンと遊んでいるようなジェレミーの対決がワクワクしますが、実の兄であり殺人者でもあるジェレミーに対して複雑な思いを抱えながらも追うカーソンの心境が辛い。
自分の存在を消し去り、周囲の目に怯えながら生きてきたカーソンの孤独と、憎みきれない兄への想いが痛々しいです。
カーソンとジェレミー二人の視点から物語は進み、次々と起こる事件と情報の多さになかなか真相が見えずちょっと混乱。
しかし謎のメッセージの解明で事件が様相を変え、終盤一気に展開していくのは爽快でした。
怒涛の展開後に事件は一応の決着をみせますが、最後の最後にハリーが静かに語る言葉が驚きとともに感慨深いです。
この結末をどこか心地よく思うのは、ジェレミーの真実を知ったからでしょう。あんなことをひっくり返してしまうとは、ここが一番驚きましたし、同時にジェレミーに対する好感度も上がりました。
この作品を読みたいがためにシリーズを1作目から読み続けてきましたが、どの作品もハズレなし。
次回作が待ち遠しいです。
- 感想投稿日 : 2012年4月4日
- 読了日 : 2012年3月31日
- 本棚登録日 : 2012年3月2日
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