渋沢栄一と勝海舟 幕末・明治がわかる! 慶喜をめぐる二人の暗闘 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2020年8月11日発売)
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感想 : 9
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 渋沢栄一関連本として読んでみました。
 本書では、一橋(徳川)慶喜を軸にして、渋沢栄一という車輪と勝海舟という車輪を左右にはめ、幕末から明治、大正にかけての日本の政治の歴史をたどっていきます。
 第一章では栄一と慶喜の関係、第二章では海舟と慶喜の関係が書かれ、第三章で栄一と海舟が出会います。第四章で栄一も海舟も明治政府に出仕することになり、第五章では政府を去った二人がそれぞれの立場から政府を助けます。そして第六章で、慶喜の名誉ひいては徳川家の名誉の回復と、海舟の死、慶喜の死、栄一のその後が書かれます。
 本書では、実業家としての栄一ではなく、慶喜に忠誠を尽くし続けた栄一の姿が印象的。先に読んだ『渋沢栄一 人間の礎』(童門冬二著)の栄一とはまた違った一面が見られて、興味深く読みました。また勝海舟の生涯もよくわかったし、幕末の政治史の流れもスムーズに理解できたし(彰義隊のリーダーが栄一の従兄弟である喜作改め成一郎だったとは知らなかった!)、そして何より、大政奉還後に日本史の舞台から降りた慶喜がどこでどうしていたのかを知ることができたことは、とても大きな収穫でした。
 読み終わったとき、なんだかホッとして大きな感動に包まれました。慶喜と栄一と海舟の三人に、本当に大変だったね、ありがとう、お疲れさまでした、と伝えたいです。
 著者については、本書を読んだのが初めてでよく知らなかったのですが、調べてみたら他にもたくさん日本史関連の著書があることを知りました。しかも、その中の一冊を持っていることが判明……。なんかすみません、あとでそちらも読みます、はい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月24日
読了日 : 2021年1月24日
本棚登録日 : 2021年1月24日

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