人間の絆 下 (岩波文庫 赤 254-8)

  • 岩波書店 (2001年12月16日発売)
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本棚登録 : 240
感想 : 22
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読書期間:2010年1月13日-1月20日
Original title:Of Human Bondage.
感想を一言で言うなら「よく、解らない…」です。


フィリップは生まれつき片足が不自由で、母の逝去に伴い母の兄夫婦に育てられます。
成長してからはドイツに留学したり、絵画を学びにパリへ行ったり、ロンドンへ戻ったり。

彼は一度決めた事は絶対曲げず即実行するのですが、長続きがしません。
この思い切りの良さは一種憧れですが、
こうもコロコロと変わると「お前…。」とつっこまずにはいられません。
絵画を学んだ時に女性と知り合うのですが、
誰の目から見ても絵では生活が立てられない程の腕前で
「5歳の子が描いた方がマシだ。」という評価。
でも本人は「継続すればきっと夢は叶う」と信じていて、人からの忠告を聞き入れません。

この辺りが「Bondage」だと感じました。
Bondageは日本語に訳すと「隷属」「従属」です。

日本語訳である「絆」は、フィリップが会った人間はフィリップが見限るか、
会った人が亡くなるまでは一時離れていてもまた出会います。
ここが、「絆」だと感じました。
人と人との繋がりが強い作品だと思いました。

一方フィリップは、ミルドレッドという女性にかなり熱を上げます。
2度助けても酷い目に会ったりしたのに、
もう関わらないと決めても会うと気にかけてしまう…。
これも「隷属」なんだなと感じました。
このミルドレッドと出会ってから結婚するなら自分と同等の身分でなければ嫌だ、
身分と教養の低い女性は低俗だと言っていたのに、
最終的には無教養で心が優しい年下の女性とお付き合いを始めて物語が終わりました。

この最後を観て「矛盾してるやん!」と思わずにはいられませんでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: littérature anglaise
感想投稿日 : 2011年1月1日
読了日 : 2010年1月20日
本棚登録日 : 2011年1月1日

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