青嵐の庭にすわる 「日日是好日」物語

著者 :
  • 文藝春秋 (2021年11月25日発売)
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感想 : 28
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「日日是好日」シリーズの集大成となっている本作。「日日是好日」映画化の舞台裏を綴ったもの。
映画化されるのか、されないのか、といった段階から、映画公開までが、森下さんの穏やかで季節感あふれる文章で書かれている。
「原作者」だけであるはずだった森下さんは、監督からプロデューサー、スタッフほとんどがお茶の経験・知識ゼロの映画製作現場にスタッフとして関わっていた。

映画撮影の現場ってこんな感じなのかーと、本当に初めて知る現場が面白かった。壁に掛けられたカレンダーや、器の中のお茶菓子など、カメラには撮られないところにもきっちり小道具やお菓子が仕込んであって、何でも“効率化効率化”な世の流れに逆らうような映画製作現場に、なんかとても好感を覚えた。撮影時期には手に入らない季節のお花を、一生懸命入手しても、映らないかもしれないし、映ってもピントはあっていないかもしれない。でも、全力で仕入れてくれるお花屋さんとか、造花を一生懸命作るスタッフさんとか、あぁ、なんかいいな、と思った。芸術ってこうゆうものなのかしら。時間単価とかそんなの無視、みたいな、うん、いい。

そして、樹木希林さんのエピソードがたくさんあった。樹木希林さん、撮影後、公開前に亡くなられていたんですね。お亡くなりになったのは知っていたけれど、そうゆう時期だったとは。

実は、この映画、テレビ放送があった時になんとなく観ていて、だいたいの映画は原作にはかなわないと十把一絡げに思っている私がいけないのだけれど、この映画についても一丁前に、「やっぱり原作のようにはお茶の良さとか伝わらないよね。やっぱり原作派だわ」なんて思っていた。本作を読んで少し反省。やっぱりもう一度きちんと観よう(笑)
「日日是好日」シリーズはとても好きなので、本書も読んで良かった!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年4月20日
読了日 : 2022年2月24日
本棚登録日 : 2022年2月24日

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