問題児たちが異世界から来るそうですよ?YES! ウサギが呼びました! (角川スニーカー文庫 た 3-1-1)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年3月31日発売)
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感想 : 44
1

超人的な特殊能力を持つ3人の少年少女。彼らはその能力の高さゆえに、世界に退屈していた。
そんな3人に、ある日突然、異世界からのお呼びがかかる。
3人は退屈な日常に別れを告げ、異世界への召喚に応える。
そこは、様々な超人や特殊能力を持った者たちだけが呼び出され、競い合い、勝負する世界だった。
とかそんな感じのお話。
まだ導入部を読んだだけだが、文章的にはあまり期待できない。
設定がチープで、ぺらっぺら。なんの説明も裏付けもなく、超人的な戦闘力を持つ少年や、言ったことがすべて本当になる少女、動物と話す少女などが出てくる。
一切の説明が省かれ、いきなり超人設定で登場する少年少女。
なんというか、どこかの世界の主人公を2,3人登場させて、一切の説明描写をさぼり、「こいつらは○○だから強いよ凄いよ」と言い張るような素人臭いノリを感じる。
異世界に呼び出された優秀な人間が活躍する、というプロットは良くある設定だし、最近読んだライトノベルでは「ノーゲームノーライフ」なんかが近いかもしれない。
が、あちらは導入部分からすでに面白かった。
その辺と比べると、この「問題児が」の導入には激しく不安を覚えた。
だがまあ、もう少し読んでみよう。
・・・日本語的にはだいぶアヤシイ。文章力としては、良くはないが悪すぎるほど酷くもないってところかなぁ。
1ページに1回くらいは日本語的におかしいだろと感じる表現が見つかるけど、読むのが嫌になるほどではない感じ。
内容的には、やっぱり榎宮祐の「ノーゲーム・ノーライフ」に近い。
異世界に呼び出された主人公達が、その世界の住人といろいろなものを賭けてゲームで戦う、なんてプロットはまったく一緒。
プラス、ギフトやらギフトカードやらの設定は、赤雪トナの「竜殺しの過す日々」を思い出す。
設定をパクッたとか真似したとかではなく、誰でも考えるような、良くあるプロットってだけなんだけど。
漫画やゲームで育った世代なら誰でも頭の中に描く理想のファンタジー世界。それをそのまんまチープなライトノベルに纏め上げたって感じだな。
だが、俺自身が漫画やゲームで育ったチープな人間なんで、それなりに楽しめそうではある。
あんまり文章力が高い低いと偉そうに語るのは我ながら嫌なんだが、せめてもう少し文章が自分のセンスに近ければもうちょっと楽しめるのになぁとは感じてしまうね。
とにかく、色々はしょりすぎ。説明をはしょるのは、ライトノベルでは間違いとは言い切れないんだけど・・・雑なんだよね。
挙げればきりがないんだけど、「箱庭」と「箱庭の世界」の区分けがふわっとしてて気持ち悪いし。
「箱庭の世界には果てがある」と言った直後に「箱庭の外側に住む者たち」とか言い出すから、すわりが悪くて戸惑った。
このとき「箱庭」が指しているのは居住地区のことで「箱庭の世界」が指しているのは本来、「箱庭と呼ばれる居住区画?が存在するこの世界全体」と思われる。
二つの言葉の持つ意味は「東京」と「宇宙」ぐらい離れているはずなのに、「箱庭」と「箱庭の世界」という二つの言葉は、ふわっと並べられただけで特に説明がなされない。だから戸惑う。
「箱庭の世界」の広さは恒星の表面積に匹敵する、とかいうのも曖昧だしねぇ。
恒星の中には太陽の1000倍以上の大きさを持つ天体もあるわけで。異世界の恒星とやらがどれくらいの大きさなのかわかりはしないが、まあとにかく説明がてきとーで、物語の中の情景を想像しにくいんだわ。
街の様子とか、建物の中の様子とか、もう全然描写されないの。 (;´д`)
文章の前後で繋がりがおかしいだろ?と首をかしげる箇所も多いし、正直ちょっと読みにくいね・・・。
細かく挙げると本当にキリがないんだけど、マジで1ページに1箇所以上、違和感を感じてしまう表現が出てくる。(; ´∀`)
例えば、「ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ」という表現。普通、逆立てるのは、頭髪や体毛だろう。元々ウサ耳は立つものだ。これを「逆立てる」となると、ウサ耳を下に向けて立たす?寝かせるってことか?
「毛を逆立てる」や「髪を逆立てる」という表現は慣用句として正しい。本来の状態から逆さまの状態に立つからこそ「逆立つ」と表現する。
元々立っているウサ耳に対して「逆立つ」という表現は、ふさわしくない。
「腕を逆立てる」とか「血管を逆立てる」とか言われて「なんだそりゃ?」と感じるような違和感だな。
まあ、こんなのさらっと流せる程度のわりとどうでもいい違和感なんだけどさ。もう、この手の小さな違和感、文章的ズレがものすげー多いの。
「ガルドの姿は先日のワータイガーではなく、紅い瞳を光らせる虎の怪物そのものとなって三人を待ち構えていたのだ」
これも前後のつながりがおかしい。「ガルドの姿は」で始まっておいて「待ち構えていたのだ」で終わるのは日本語の文法的におかしいだろ。
こうした、比較的どうでもいいような、さらっと流せる程度のおかしなところが最初から最後まで頻繁に出てくる。
俺自身、偉そうに評価できるほど文法に明るいわけじゃないから、それが「間違っている」とまでは断言しにくいんだけど、とにかく俺のなかの文法ルールとずれるところが多すぎて読みにくいと感じてしまった。
読了。突っ込みどころが多すぎて長々とぼやきながらレビューしちゃったけど、ぶっちゃけやっぱりつまんないわ。
異世界召喚とか中二設定とか俺TUEEEE!とかは基本的に大好物なんだけど、そういうのって作品の質が低いと嫌味なだけなんだよね。 (;´д`)
アニメ化もしたし、現時点で7冊出てるシリーズだし、わりと期待してたんだけどなぁ。残念だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2013年5月26日
読了日 : 2013年5月26日
本棚登録日 : 2013年5月26日

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