香港華族の愛人 (角川ルビー文庫)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年4月28日発売)
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 曾祖父が人から預かり、祖父も大切にしていたという壺が、自分の学費のために、売りに出されたと知り、それを取り返すことを忌めた裕樹。
 どうやらその壺はたまたま立ち寄った香港の実業家に買い取られたらしい。
 一生懸命、実家の手伝いで貯めたなけなしのお金で香港に渡り、実業家・燕海淵に壺を返して欲しい、と迫るけれどすげなく断られる。
 おまけに、海淵はまったく裕樹の話に耳を傾けてくれようとしない。
 それどころか、明日からは休暇でしばらく職場にも来ない、と言われ裕樹に対して「さっさと日本に帰れ!」という扱い。
 それに対して、どうしても壺を持って帰らないといけないわけには行かない裕樹は、「身の回りの世話をするから休暇に同行させてほしい!」と立候補する。
 それをどうやら「愛人をする」ということだと勘違いされてしまった裕樹は、いきなり無理やり海淵に抱かれてしまう。
 ところが、それで裕樹は諦めず、純粋に使用人として南の島のバカンスに同行させて欲しいと、海淵に頼み込む。
 海淵は「愛人」として連れていく、と二人はすれ違いのままだったけれど、とある出来事をきっかけに海淵は裕樹のことを改めて「使用人として雇う」と言ってくれ、雇用契約書まで交わしてくれるようになる。

 次第にお金では満たされない海淵の孤独を知るようになる裕樹は、海淵のことを放っておけなくなり……

 という話でした。
 よくあるお金持ちに無理やり系。
 ちょっといつもとタイプが違うなー……と思うのは、これ系の話はいつも大体アラブ系が多いんですが、中華系……というか香港系の話だった事かなー……。
 それから、海淵はどちらかというと上から系というよりは、気まぐれわがまま坊主系。
 あんまり威厳……という日本語には近くなかったような気がします。
 最後のハッピーエンドのシーンも、かっこ良く決める、というよりはもう焦って焦ってどうしようもなくて勢いで告白してしまった感じがあるし、告白した後は大人の威厳も何もなく、「日本に帰したくない。香港の大学に行けばいい」ですし……。

 まるで駄々っ子のよう。
 でもそういうほうっておけないところが裕樹にとってはよかったんだろうな……と思うと、それもよかったのかな。

 傷心の駄々っ子香港富豪×世話焼き純情青年がお好きな方は是非どうぞ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(BL)
感想投稿日 : 2013年8月31日
読了日 : 2013年8月31日
本棚登録日 : 2013年8月31日

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