水沢那智は焼き菓子店を経営している。
そんな焼き菓子店にある日、閉店間際になって一万円を握り締め、「全部ください」という男の子が現れる。
そんな日が2、3日続いた後、水沢は不思議に思って、「保護者を連れておいで」と告げる。
すると、保護者として現れたのは、水沢のかつての恋人・加賀有隆だった。
高校時代に、ひょんなことから関係を持った水沢と加賀は抱き合わずにはいられないほどにお互いを想い合う。
けれど、大企業の社長の息子である加賀と一般人である水沢とでは立場が違いすぎた。
どこからか加賀と水沢の仲を知った加賀の父親が、水沢の母親を通して水沢に加賀と別れるように圧力をかけてきたのだ。
最後は二人で共に死ぬ約束までした二人だったが、水沢は加賀を置き去りにして逃げてしまう。
そんな裏切ったはずの加賀が八年ぶりに現れ、以前の面影を残しつつ、水沢に対して穏やかに微笑んだ。
そんな加賀の真意が見えず、水沢は心惑う……
という話でした。
ぼろぼろになって別れた二人が年月を経て再会し、再び付き合いだすまでのお話。
どちらかというと、若き日々の恋愛がメインで、大人になってからの二人はちょっとした戸惑いもありつつも、やがて元鞘に……という感じでした。
子どものどうにもならない悔しい気持ちが、歳月を経てようやく結びつく……って、純愛ですよね。
こんなことって実際にはないんだと思うんですが、こういう話はいつ読んでも憧れるし、切ない気持ちになります。
特に子どものどうにもならなさは、すごく身につまされるのでじんわり沁みてきました。
純愛物が好きな方にはオススメです。
- 感想投稿日 : 2012年3月7日
- 読了日 : 2012年3月6日
- 本棚登録日 : 2012年3月7日
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