罪と罰とキス (白泉社花丸文庫 か 1-15)

著者 :
  • 白泉社 (2004年1月1日発売)
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 啄木鳥陸が、修学旅行から帰ってくると、部屋はもぬけの殻。一緒に暮らしていたはずの母親とその恋人(ヒモ)は、借金を作ったまま失踪したのだった。
 呆然とする陸だったが、実はこんなことは日常茶飯事で、陸の母親の舞子は、男を作っては駆け落ちし、そしてまた戻ってくる――ということを繰り返していた。

 ところが、突然訪ねてきた有名ローン会社の社長・御上永騎が現れると、いつもと事態が一変する。
 彼は、借金を盾に、あろうことか陸を有無を言わせず抱いたのである。
 おまけにそれだけでは終わらず、永騎の友人宅に連れてこられたかと思うと、永騎の友人がオーナーを勤めるという系列の超高級倶楽部で、男娼まがいのことをさせられてしまう。
 だが、それは永騎以外の相手は一切しないという永騎専属ということで――?

 という話でした。
 いきなり陸を犯した永騎は、実は前々から陸のことを知っていて、たまたま借金を取り立てなければならない用事があったので、陸の家を訪ねたところ、怯えられたことに腹を立て、陸を抱いてしまう。

 この時点で大分むちゃくちゃです。
 陸にとったらとんだとばっちり。

 あげく、攫われて永騎の友人の家に連れてこられて、彼が店長を務める超高級倶楽部で永騎専属のホストをさせられる。
 それもこれも、本当は永騎が「陸のことを好きだから」だそうなんですが、そんなこと言われても、陸としては「はいそうですか」と受け入れられるはずもなく。
 永騎のことを嫌うけれど、次第にそうすることでしか愛情を表現することができない不器用な人なんだ、と永騎のことを考え直したら、今度は自分が愛を貰いなれてないことに気がつく。

 とまぁ、そんな感じの話だったんですが。
 個人的には「漫画だなー」というのが一番の感想でした。

 元々漫画を描かれる作者さんなので、仕方がないといえば仕方がないんですが、小説にある独特の間みたいなものがあんまりなくて、話がとんとん進んでいく。
 うまく表現できないけど、多分「ため」みたいなものがないんだろうなー……と思います。

 なので、小説としては物足りないし、いきなり初対面で自分を襲ってきた人間を好きになる――とか、あまりありえないシチュエーションだったりもするんですが。
 まぁ、それはそれ。
 よくあるBLかなー……という。

 さらっと読みたいときにはオススメですが、小説独特のしっとり感的なものを求めてるときにはオススメできないような気がします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(BL)
感想投稿日 : 2012年8月21日
読了日 : 2012年8月21日
本棚登録日 : 2012年8月21日

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