黒帝愛人 (ラヴァーズ文庫GREED 1)

著者 :
  • 竹書房 (2008年4月25日発売)
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本棚登録 : 88
感想 : 9
3

 実は、先に「凛花は夜に散らされる」を読んでしまったのですが、実はこちらが先。
「凛花は〜」は公安の紀藤が主人公の話でしたが、こちらは利用される側であった桂木祥悟の視点での話。

 祥悟は、自身の幼い頃の経験を生かして、異国の地で言葉も通じず心細い思いをしている外国人の相談に乗っているうちに、多国籍集団UNIONという集団の顔役のように言われるようになっていた。
 祥悟自身には、そのつもりはまったくないのだが、公安にも顔役だと認識され、そのUNIONに所属する数人が麻薬を売買した事で捕まり、その他のUNIONのメンバーも含めて、強制送還をするぞ、と祥悟を脅し、公安の紀藤という刑事から脅される。
 外国人の心細さは身を以て知っているし、またお金のない彼らが強制送還された後の祖国での生活も決して楽ではない。それを知っている祥悟はしかたなく、紀藤の要求を飲む。
 紀藤の要求は、祥悟に「闇オークションの出品物として囮になること」。
 かくして祥悟は、闇オークションに出品され、公安当局も無事にそのオークションを摘発する事ができたのだが、祥悟だけは祥悟と祥悟が「管理する」という名目になっている絵画と共に五十億で落札しようとした男に連れ去られてしまう。

 祥悟が目覚めるとそこは、白恵鳳と名乗った男の屋敷であり、男は祥悟のことを「奴隷」として調教し始める。
 恵鳳の祥悟に対する扱いは酷い物であったけれど、性的なこと以外の扱いは至って正常なもので、次第に祥悟は恵鳳が他人に対する他の扱い方を知らないだけじゃないのかと思い始める……

 という話でした。
 もちろん、闇オークションに参加できるくらいなので白家はとんでもないお金持ちで、人一人をパスポートもなく、荷物として海外に連れ出せてしまうので裏の顔も持っているのですが、恵鳳自体は非常に勤勉で、時間内は仕事もしっかりこなしている。
 唯一の息抜きは、自分の好きな物だけを集めた店でゆっくりする時間だけで……という感じの人で、結局のところ祥悟がほだされる形でハッピーエンド。
 再会した紀藤の口車にも乗らずに、恵鳳を使うことにして、お互いの信頼関係も深まります。

 この作者さんの特徴で、調教シーンもかなりの濃いものなので、そういう物をお好みの人にも満足して貰えるものなんじゃないかな……と思います。

 個人的にはこれを読んだら「凛花は〜」も読んでもらいたいと思います。
 紀藤もあながち悪い人ではないんだよ? ということがよくわかるので。こっちだけ読むと完全に悪者ですけどね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(BL)
感想投稿日 : 2013年9月9日
読了日 : 2013年9月9日
本棚登録日 : 2013年9月9日

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