ピアニストの佐光に呼び出された悪魔の艶夜。
それなりの魔力を持つ艶夜は、早々呼び出しに応じたりはしないのだけれど、ついつい気まぐれから出てきてしまう。
さっさと契約してしまい、魂を奪ってしまえばいい、と考えていた。
ところが、何か叶えたい望みがあって艶夜を呼び出したはずの佐光は、「何も望みがない」と言う。
困り果てた艶夜が「何かないのか!?」と迫ると、逆に押し倒されて監禁状態にされてしまう。
基本的に快感に素直な悪魔である艶夜にとって、佐光から与えられる極上の快感にあっという間に翻弄されて、今まで男を抱いたことはあっても、抱かれたことのないその身体だったけれど、あっという間に快楽に虜になってしまう。
けれど、元々は悪魔である艶夜は人間界には長くとどまれない。
長くとどまる間には、一度魔界へ帰って、魔界の空気を吸ってくる必要があるのだ。
それを知らない佐光は、次第に弱ってくる艶夜になすすべもない。
という話でした。
結局のところ、艶夜が人間になることでハッピーエンドだったんですが。
実は佐光は、以前、艶夜を自分の願いを叶えるために呼び出したのに、艶夜に惚れて家庭を顧みなくなってしまった男の息子で。
ある意味自業自得といえば、自業自得。
佐光は悪魔の魔力で一時的にフラフラと相手の男に惚れさせられ、結婚してしまった両親の間に生まれた子供だから当然、幸せな結婚生活を送れるはずもなく。
けんかの絶えない家庭で育って。
自分にあるのはピアノだけだったので、来る日も来る日もピアノに向かって過ごしたせいで、あっという間に実の父を追い越してしまっていた。
そのことがまた、家庭の不和の原因になっていて――という悪循環。
そのピアノでもって、地位も名声もお金も得てしまったせいで、佐光は毎日が退屈で退屈で仕方がなかったから、艶夜を呼び出した――という感じでした。
結局のところ、寂しがりで執着心の強い佐光に艶夜がほだされた形ですが、それはそれでいいんじゃないかな、と思います。
執着心のあまりどうにかなっちゃって攻めまくりの攻めの話がお好きな方にオススメします。
- 感想投稿日 : 2012年12月9日
- 読了日 : 2012年12月1日
- 本棚登録日 : 2012年12月9日
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