ハングルへの旅 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (1989年3月1日発売)
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本棚登録 : 330
感想 : 32
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この本、図書館で借りて読んだばかりなのだが、なんと今月、新装版が出るらしい。
著者が「韓国語を習んでいる」というと「また、なんで?」と問われたという1980年代。
今やK-POPや韓国の映画・ドラマに魅せられる人が増え、
それに従って言語への関心も増してきたということが、
30年以上を経ての新装版刊行に結びついただろうか?

かく言う私も、遅まきながらハングルを学びはじめた1人。
そのうえで、この本を読むときに注意しなければならないのは、
ここに書かれているのは今から30年以上前の状況だということ。
当時はまだ、韓国でも漢字が使われていた。

著者は「日本とは異なる漢字の読み方を学ぶのが難しい」と書いている。
漢字で書かれていれば、黙読で意味を拾うには役立ちそうだが、
言語を学ぶには邪魔になりそう。
すべてハングルで書かれている今ならば、
そのぶん紛らわしさから逃れられるのではないだろうか。

韓国の旅を振り返るエッセイもすてきだが、
特に心に刺さったのは、柳宗悦を導き、文字通り現地に骨を埋めた浅川巧と
同志社大学に学び、終戦直前に福岡の刑務所で獄死した詩人、尹東柱に触れたくだり。
読書から、さらに遠く深くへ導かれる一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月5日
読了日 : 2023年3月5日
本棚登録日 : 2023年3月5日

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