モロー博士の島 他9篇 (岩波文庫 赤 276-3)

  • 岩波書店 (1993年11月16日発売)
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現代の我々の感覚からすれば、首を傾げるような考え方を作品の語り手が語っている場面がいくつかあるが、全体を通じて面白く読めた作品集。

「モロー博士の島」は、確かにこう収束するべきだ、という結末。島における動物から人間へ、というベクトル(少なくともモロー博士の実験が目指していたベクトル)が、いざ人間社会に戻ると人間から動物、というベクトルに移り変わるのが対照が効いていてうまい。そもそもこの作品は人間の獣性を示すエピソードから始まったのだった(コイントスで犠牲者を決める、酔っ払った艦長が主人公を海に流す)。

「アリの帝国」には、ぞくっときた。人間対アリの競争の結末が示されていないのが余計に怖い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9 文学海外
感想投稿日 : 2019年5月9日
読了日 : 2019年5月9日
本棚登録日 : 2019年5月7日

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