幸せと不安はいつだって背中合わせだ。
お互いの気持ちが通じ合い、やっと身も心も結ばれたカオルと〝うさぎちゃん〟こと秋広。
こんなに幸せなのに、心のどこかでそれが消えてしまう日を怖がる。
思えば、それは予感みたいなものだったのかもしれない。
突然現れた伯母のせいで、マスコミに過去を暴かれ一大スキャンダルに巻き込まれるカオル。
改めて自分はカオルのことを何ひとつ知らなかったことに、秋広は愕然とする。
取り巻くもの全てに嫌気がさして、カオルは姿を消してしまう。秋広すら置き去りにして。
カオルの過去は予想以上に暗かった。悪いこともたくさんしてきた。
そんな自分が秋広を汚してしまうかもしれないと恐れて、何もかも断ち切ってしまう。
カオルを助けたいのに。支えたいのに。そばにいたいと願っているのに、輪の中に入れてもらえない。
カオルにとって、自分は本当は必要のない人間だったのだろうか。
でも、会いたい、会いたいと煩悶する心。
やがて、逃げてしまったカオルを今度は自分から追いかける決心をする。
カオルはロンドンにいた。しがらみから解き放たれて、ストリートで自由に歌っているカオルをみつける。
傷つけられても、歌う場所を失くしても、カオルはやっぱり歌っている。
離れてしまった時間を超えて、秋広の口をついて出た言葉は『愛してる』だった。
一緒にいることは、苦しい。嬉しい。悲しい。愛しい。
でも、もう離したくない。
『君の体の中には天国がある。甘く優しく、僕の上に降ってくる』
夢のような逢瀬だけれど、今はお互いにはお互いの場所もやることもあるからと一旦は遠距離を選ぶふたり。
やがてカオルは自分の納得のいく形で日本で再デビューを果たした。
はぁ~、切なくて、でも幸せで、いい最終巻だった。
- 感想投稿日 : 2012年7月26日
- 読了日 : 2012年7月26日
- 本棚登録日 : 2012年7月26日
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