新装版 隠し剣孤影抄 (文春文庫) (文春文庫 ふ 1-38)

著者 :
  • 文藝春秋 (2004年6月10日発売)
3.82
  • (150)
  • (206)
  • (230)
  • (11)
  • (2)
本棚登録 : 1638
感想 : 140

久しぶりに藤沢周平の世界に浸る。本書は海坂藩を舞台に展開する8つの短篇物語集。そのいずれもの主人公が表題にあるように各様の「隠し剣」を持っている。かといって、これはいわゆる剣豪小説などではない。それぞれの主人公が持つ「隠し剣」は、ここぞという生涯ただ一度の時にしか使われることがない。そして、各々の物語はその「生涯ただ一度の時」に向って収斂してゆくのだ。そうした時間の凝縮性のゆえに、本書はことさらにドラマティックなのだろう。また、各話ともに女性が登場するが、これがまたいずれも極めて魅力的だ。藤沢文学の白眉。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆日本文学/エンターテインメント
感想投稿日 : 2013年9月25日
読了日 : 2013年1月16日
本棚登録日 : 2013年9月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする