1987年上半期芥川賞受賞作。村田喜代子は、これまでに『縦横無尽の文章レッスン』を読んだが、小説は初読。タイトルの『鍋の中』は、およそ芥川賞作品らしくもないし、魅力的ではない。九州の田舎での祖母と4人の孫たち(大学1年生~中学生)の一夏を、主人公たみ子の1人称語りで描いてゆく。選考委員の評価は総じて高いのだが、私には小説としての斬新さが感じられなかった。そこで描かれる世界も、感性も妙に古いのだ。かといってノスタルジーを喚起するのでもなく、ある種のリアリティだけがあり、そこに小世界が完結しているかのようだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆日本文学
- 感想投稿日 : 2013年9月27日
- 読了日 : 2013年8月17日
- 本棚登録日 : 2013年9月27日
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