それぞれの冒頭にデルヴォーの絵が付されているので、一見したところは画讃に見えるかもしれないが、掌編を連ねた中編小説である。全体は一連の夢。入って行くのは18枚のデルヴォーの絵の中の世界。そして、案内図はヴェルヌの『地底旅行』だ。デルヴォ-の絵は、氷河や氷が描かれているわけではないが、そのいずれもから温度感が全く伝わってはこない。そして、時間が突然にそこで静止してしまって、もはや動き出すことはないかのようだ。ヌーヴォー・ロマンの作家、ビュトールは、ここでまさに「視る」ことに徹して、幻視世界を旅してゆく。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆フランス文学
- 感想投稿日 : 2014年1月13日
- 読了日 : 2014年1月13日
- 本棚登録日 : 2014年1月13日
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