ポ-ル・デルヴォ-の絵の中の物語

  • 朝日出版社 (2011年9月1日発売)
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本棚登録 : 28
感想 : 5
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それぞれの冒頭にデルヴォーの絵が付されているので、一見したところは画讃に見えるかもしれないが、掌編を連ねた中編小説である。全体は一連の夢。入って行くのは18枚のデルヴォーの絵の中の世界。そして、案内図はヴェルヌの『地底旅行』だ。デルヴォ-の絵は、氷河や氷が描かれているわけではないが、そのいずれもから温度感が全く伝わってはこない。そして、時間が突然にそこで静止してしまって、もはや動き出すことはないかのようだ。ヌーヴォー・ロマンの作家、ビュトールは、ここでまさに「視る」ことに徹して、幻視世界を旅してゆく。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆フランス文学
感想投稿日 : 2014年1月13日
読了日 : 2014年1月13日
本棚登録日 : 2014年1月13日

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