「はしがき」によれば、これらの記述は著者が33歳の頃の、いわゆる「若書き」とのこと。なかなかどうして堂々たる内容、既にして恐るべき博識ぶりだ。タイトルには中世とあるが、古代から現代に至る悪魔、及びその周縁(ドラゴンだとか、地獄だとか)の、つまり反キリスト的なものの図像学史といった内容。美が規範の上に成立しているのに対して、恐怖(これが悪魔を生む)は、無秩序と過剰のうちに成立するというのは、澁澤ならではの見事な卓見だ。虚無には際限がないのだから。ただ、肝腎の図像が暗いモノクロームで良く見えないのは残念だ。
読書状況:読み終わった
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☆澁澤龍彦
- 感想投稿日 : 2013年9月25日
- 読了日 : 2013年2月12日
- 本棚登録日 : 2013年9月25日
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