被爆者: 60年目のことば (シリーズ・自然いのちひと 7)

著者 :
  • ポプラ社 (2005年7月1日発売)
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感想 : 8
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児童用。被爆者の中では戦争はまだ終わっていないのだなと思った。展示されている昔の写真の少年が今も生きている、という点は写真を見ても瞬時には想像できないのが私の弱さだった…。お年寄りが『被爆後はそれじゃどうやってお嫁にいくのと言われた』と言っていたけれど、しわの顔からはそんなにひどいとは思わなかった。60年たって苦しんでいる彼ら。彼らの中ではまだ終わっていないのだと思った。そして毎日原爆ドームを描き続けるというおじさんと『広島はもっとアメリカ人にたいして憎悪のあふれる町なのかと思った』というせりふに対して『広島までわざわざ訪れてくれるアメリカ人に対してひどいことは言えない』というせりふは、中国南京の虐殺を経験した人々たちのせりふに似ていた。私には想像のできない地獄を味わって世界の平和を願えるというのはどれほど強い精神なのか。きっと憎んでも
過去は消し去れないということを人生をもって感じてきたからなのだろう。著者の『私には何もできないけれどとりあえず知りたい』という思いのおかげで私も広島について考えることができた。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 写真集・写真関係
感想投稿日 : 2006年3月16日
本棚登録日 : 2006年3月16日

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