泣きすぎて頭が痛くなった。
一首歌を読んで泣き、また一首読んでは泣き。
わんわん泣くって言うわけではなく、じわーっと。
思い出すだけで泣けてくる。
夫婦揃って歌人である河野裕子と永田和宏の相聞歌とエッセイをまとめた本書。
二人の運命的な出会いから妻が乳癌によって亡くなるまで40年間、ずっとお互いを思う気持ちを歌に読み続けてた。
恋に悩む若かりし頃、子育てに追われる日々、そして闘病生活。
それぞれの時代に詠われた歌を読むと、平坦な道のりであったとは言えない。どこの夫婦でもそうだが、辛いこと、悲しいこと、色んなことがあったのだろう。
でもお互いを思う気持ちは決して変わらなかった。
ああ、なんて素敵な夫婦。
短歌がここまで心を打つとは思わなかった。
恥ずかしながら河野裕子さんも永田和宏さんも全く存じ上げなかったし、短歌を読む習慣もない。そんな私でもお二人の詠む歌は心に響いてきた。
私にもこんな風に歌を詠む才能があったならなどとも思うが、果たして長年の連れ合いに恋歌など詠むだろうか(笑)
話は飛ぶが私の家系は立派な癌系統。ありとあらゆる癌に罹ってきた。
癌との戦いに勝った人、負けた人、今まさに闘っている人。
私もいずれは癌と対峙する日がやってくるのだろうと思う。
でも嘆き悲しむばかりではない。
癌と宣告されたその日から命を終えるまでは神様が与えてくれる猶予期間だと思えばいい。
その間に大切な人に思いを伝えるのも良し、会いたい人に会うのも良し。
他の病気に罹るよりもきっと良い事がある。
自分の死期を自覚した最期の時間。
そんな時間があったからこそ、この夫婦の間には珠玉の歌が生まれたのではないだろうか。
癌だって捨てたもんじゃない。
そう思いたい。
- 感想投稿日 : 2014年5月7日
- 読了日 : 2014年5月7日
- 本棚登録日 : 2014年5月7日
みんなの感想をみる