みちくさ道中

著者 :
  • 平凡社 (2012年12月21日発売)
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本棚登録 : 164
感想 : 35
4

時代小説家にふさわしい小気味よく潔い文章。
飾ることなくおごることなく端正な文章がスッと心に入り込み、時にはユーモアで笑わせ、時にはじっと考えさせられる。
私自身、彼女の作品は一つしか読んだことがないが、このエッセイを読むだけですでに虜になってしまった。

このエッセイの中で木内さんは作品と自分自身は全く別ものであると繰り返すが、それでもなお彼女の人柄の魅力が作品に反映されていると思わざるを得ない。
一言でいえば“粋”だろうか。
飾らない正直で無理をしない姿勢がかっこいいのだ。

木内さんは、人生は風任せ、道草の連続だと言う。
作家になる野望も持たず、人生の目標も掲げてこなかったと。
これだけ聞くと努力もせずに成功をした人のように感じるが、いやいやとんでもない。
努力の人だと思う。
作家になる意志はなかったと言うが、なるべくしてなった人だと思う。

それにしても、“萩の月”にまつわるエピソードはたまらなくおかしかった。
一人大爆笑。
これを読めただけでもこの本を読んだ価値はあった。
是非。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年3月23日
読了日 : 2013年3月22日
本棚登録日 : 2013年3月23日

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コメント 4件

nejidonさんのコメント
2013/03/23

こんにちは♪
時代小説&歴史小説大好きなんですよ。
これは、時代小説作家さんによるエッセイなんですね。
未読ですが、とても面白そうでおおいにそそられます。
これだけ褒めてて☆4つというのも気になって気になって(笑)
ああ、それにしても困ったなぁ。
皆さんのレビューを読むと、読みたい本が増える一方です。
なんて幸せな悩みなんでしょ。

vilureefさんのコメント
2013/03/23

nejidonさん、こんにちは!

時代小説好きなんですね♪
私はほとんど読んだことがありません(^_^;)
だからこのエッセイ集でも歴史上の人物や時代小説家について書かれていることも、ふーん、そうなんだ~くらいで(笑)

そういえばそうですね、これだけ絶賛しつつ☆4つ・・・。
私の☆5つの評価は、読後にどれだけ余韻が残るかが鍵ですかね。
本の世界に入り込んでしまって帰ってこれないそんな状態の時に☆5つにしています(^_-)-☆

木内さん、名前だけじゃ女性だなんて思いませんよね。最近、作家の名前も色々で性別がわからないことが多いですよね(^_^;)

九月猫さんのコメント
2013/03/23

vilureefさん、こんにちは☆

>“萩の月”にまつわるエピソード
の「萩の月」って、あの仙台銘菓の萩の月のことでしょうか?
このお菓子、大好きなのでつい反応してしまいました(^m^)
「大爆笑」エピソードだからお菓子とは違うのかしら??
ああ、興味津々です!

上でnejidonさんも書いていらっしゃいますが、
ブクログでいろんなレビューを読ませていただいていると、
読みたい本が増えてたいへーん!でもやっぱり幸せ~♪です(*´∇`*)

vilureefさんのコメント
2013/03/23

九月猫さん、こんばんは♪

そうです!あの「萩の月」です!!
ここで語ってしまうとネタばれになってしまうので、是非九月猫さんにも読んでほしいです(^_-)-☆

ほんとうですよね~、ブクログを始めてからあれもこれもとある種の強迫観念のように本に追われる毎日です(^_^;)
なかば中毒ですよね、ふふふ。

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