名誉と恍惚

著者 :
  • 新潮社 (2017年3月3日発売)
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本棚登録 : 160
感想 : 17

これははまった。1930年代の上海を舞台にして繰り広げられる、ある警察官の男の物語。その予断を許さない展開が、読み進まずにはいられない境地へいざなわれ、急き立てられるかのように、話を追っていった。

壮大な大河ドラマ、といった趣き。随所に性的に濃密な描写もあるが、この物語を現実感をもって成り立たせているための、重要な要素といえよう。また、「腥い」という語句が文中に何度も登場する。「なまぐさい」と読むと初めて知ったわけだが、そうこの小説は相当に腥い。何というか、生ぬるい空気感とともに、実際にかいだら顔をしかめそうな、そんな腥さが実際に漂ってくる、こんな小説は初めてだ。

図書館で借りて読み始めたが、700ページ越えのハードカバーで手にとりづらく、しかし途中まで読んでやめられなくなったので、電子書籍で購入。お値段張ったが(4,320円なり)、その価値は十分あり。読み応えのある、時間を忘れさせてくれる一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年7月22日
読了日 : 2018年10月24日
本棚登録日 : 2018年7月22日

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