これははまった。1930年代の上海を舞台にして繰り広げられる、ある警察官の男の物語。その予断を許さない展開が、読み進まずにはいられない境地へいざなわれ、急き立てられるかのように、話を追っていった。
壮大な大河ドラマ、といった趣き。随所に性的に濃密な描写もあるが、この物語を現実感をもって成り立たせているための、重要な要素といえよう。また、「腥い」という語句が文中に何度も登場する。「なまぐさい」と読むと初めて知ったわけだが、そうこの小説は相当に腥い。何というか、生ぬるい空気感とともに、実際にかいだら顔をしかめそうな、そんな腥さが実際に漂ってくる、こんな小説は初めてだ。
図書館で借りて読み始めたが、700ページ越えのハードカバーで手にとりづらく、しかし途中まで読んでやめられなくなったので、電子書籍で購入。お値段張ったが(4,320円なり)、その価値は十分あり。読み応えのある、時間を忘れさせてくれる一冊だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年7月22日
- 読了日 : 2018年10月24日
- 本棚登録日 : 2018年7月22日
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