裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房 (2017年2月23日発売)
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本棚登録 : 855
感想 : 66
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現在、日本SF界で話題になっているのが、中国SF・SF第七世代・百合SFの3つである。本作品は百合SFで最も注目されている作品、シリーズと言っても過言ではない。百合のレベルは、「恋愛」の様なハード系というよりも「友情」といったソフト系に属する。設定では主人公の2人は女子大生だが、別に草食系男子大学生であってもストーリーは成り立つと思う。
本作品は2017年からハヤカワ文庫JAでシリーズ化されており、現在第5巻まで刊行されており、第6巻は3月に発売予定である。それと並行してコミックが2018年からスクエアエ・ニックスで発売され、これも第5巻まで出ている。JAの1巻につきコミックが4巻のペースで作品化されているので、このままの計算で行くとコミックは最低でも24巻は出ると思われる。その点でも期待は大きい。そして本作品のアニメは1/4からTOKYO MXで放送開始、ニコ動でも配信している。
一つの作品を小説・コミック・アニメの3つで楽しめる訳だが、最近この作品を知った私はどの順番で見た方が良いのか考えた。色々順番を変えたりして試行錯誤しながら検討した結果、「小説→コミック→アニメ」が良い。この小説の文体は脚本の側面を持っていて、カッコ書きの台詞が多いのに加え、場面描写が具体的なのは漫画化・アニメ化にも繋がる重要な要素。アニメを観てから小説を読むと、本当に脚本を読んでいる気分になるので、それはあまりお奨めしない。
今回は小説の中身については触れなかったが、設定のアイディアは秀逸で、回を重ねるごとに次の作品を読みたくなる衝動に駆られる。のめり込める作家の一つに加わりそうだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF小説
感想投稿日 : 2021年1月24日
読了日 : 2021年1月23日
本棚登録日 : 2021年1月24日

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